赤ちゃんにも善悪がわかる!?
(CNN) 赤ちゃんの道徳観を研究している立場上、「人間は生まれながらに善人だったり悪人だったりするのか」と質問されることがある。私の答えは「イエス」だ。
たいていの大人は善悪の観念を持っている。サイコパスでもないかぎり、残虐な行為には恐怖を覚え、親切な行動を目のあたりにすると勇気づけられるものだ。窮地にある人に救いの手を差し伸べ、犯罪者に罰を与えたいと思うのは、ごく普遍的な道徳的衝動だ。
赤ちゃんについても同じことが言える。人間の道徳観などについて考察した自著のなかで、こういう道徳的衝動が人間の生物としての進化の産物なのではないかと論じた。
人間の脳には生まれつき道徳観念が組み込まれており、赤ちゃんや幼児でさえ、他人の行動の善悪を判断できる。そして、善行に報い、悪行を罰したいと自然に欲するものなのである。突飛な主張だと思われるかもしれないが、多くの研究室で立証されている。
米エール大学の私の研究室では、人形を使った道徳劇を赤ちゃん相手に見せ、その反応を観察した。他人が坂を上るのを手助けするような善人役の人形と、逆に坂から突き落とすような悪人役の人形とを対照させて上演。赤ちゃんの表情や行動を見て取ることで、どのような道徳判断を下しているのか分析した。