注意散漫? 創造的? さまよう思考が果たす役割
(CNN) 会議中、つい洗濯物のことを考えてしまって上司の言葉が耳に入らない。書類を読んでいる間、気がつけば何分も同じ文章を眺めていた――。近年の研究で、こうした思考のさまよい、認知科学で「マインドワンダリング」と呼ばれる現象の重要性が指摘されている。
まず、普段の私たちの意識が思いのほか長い間、マインドワンダリング状態にあることがわかってきた。米ニューヨーク大学の非常勤准教授で心理学が専門のスコット・バリー・カウフマン氏は、「日常的な認知の50%は、自然発生的な認知、つまり白昼夢やマインドワンダリングによって占められている」という。
マインドワンダリングは、意識が心ここにあらずの状態になり、目の前の作業とは無関係なことを考え始めてしまうことで生じる。このため従来、マインドワンダリングは、認知の上で無駄な時間であるとか、自分の心理をコントロールする力の欠如として、否定的に捉えられてきた。こうした否定的な評価が今、科学者の間で再考に付されている。
特に注目されているのが、マインドワンダリングと創造性の関係だ。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校のジョナサン・スクーラー氏は、意識をさまよわせておくことが創造的な思考にとって重要だとの説を展開している。創造の過程では、意識が自由にさまよう「ふ化期間」が不可欠だという見方だ。