注意散漫? 創造的? さまよう思考が果たす役割
マインドワンダリングをうまく利用するには、そのVIPルームから重要性の低い課題を取り除き、「心のレーダーを可能な限り研ぎ澄ませる」ことが鍵となる。スクーラー氏によると、自分が取り組みたい課題や疑問が何であるかを日頃から認識することで、心がその課題に自然と向かうようになるという。
カウフマン氏も、マインドワンダリングに一定の方向性を与えるために、具体的な目標や課題について頭でシミュレーションすることが有効だと語る。同氏は、「意識を無目的にさまよわせるのではなく、前向きかつ建設的な空想へと持っていくことが重要だ」と語る。
とはいえ、マインドワンダリングを自分で制御するのは難しい。その場合、1日10分間の瞑想(めいそう)がお勧めだ。スクーラー氏によると、これにより読解力が向上するという。近年、瞑想がメンタル面の効率を最大化するうえで役に立つとの認識も定着してきている。
また、マインドワンダリングは一人ひとりに個性を与える効果もあるようだ。カウフマン氏は、「マインドワンダリングこそ、多くの意味で個人を個人たらしめているものであり、私たちに唯一無二の個性を与えてくれるものだ」と主張。注意を内面に向け、さまざまな空想にふけることがなければ、周囲の環境を自分なりに解釈して、自分の考えを育む能力を制限することになるという。それは結果的に、注意力そのものに限界を設けることにもなってしまうという。