現生人類とネアンデルタール人の「共生」を裏付ける頭蓋骨
(CNN) イスラエル北部で5万5000年前の人類の頭蓋骨が発掘され、現生人類がアフリカから欧州へと広がった過程を示すものだとする論文が28日、英科学誌ネイチャーで発表された。
テルアビブ大学などの研究チームの論文によれば、問題の骨はイスラエルのガリラヤ西部にあるマノット洞窟で発見されたもので、頭蓋骨の一部。「明らかに現生人類のもの」であり、「形の上では欧州人ともアフリカ人とも似ている」という。
論文の共著者であるテルアビブ大学のイスラエル・ヘルシュコビッツ教授は英ガーディアン紙に対し、「アフリカと欧州をつなぐ初の標本だ」と述べた。骨は3万年前に崩壊した洞くつの岩棚で発見されたという。
ウラン・トリウム年代測定法で調べたところ、この骨は5万5000年ほど前のものらしい。
初期の現生人類がアフリカを出て北に向かったのは4~6万年前の間だったというのが通説だが、今回の発見により、その時期が後半に絞られる可能性が出てきた。また、北上にあたって現代の中東地域を経由した可能性がみえてきた。
論文によれば、頭蓋骨の分析から「マノットの人々は、もっと後の時代に欧州への移住に成功した最初の現生人類と近い関係にある」という。つまり欧州に向かった現生人類は、まず現在イスラエルのある地に立ち寄ったのかもしれない。
上部旧石器時代と呼ばれるその時代、欧州や現在のイスラエルにはネアンデルタール人も暮らしていた。