病気にかかっている? 臭いで判明
研究チームは有志の被験者に対し、免疫系を活性化させ炎症反応を引き起こすリポ多糖を投与。8人の被験者にリポ多糖または偽薬のいずれかを注射し、体が病気もしくは健康な状態の場合の反応を示すようにした。そして、被験者が着たTシャツの脇の下から臭いを収集し、訓練を積んだ検査員が嗅いで判断した。
検査員40人は臭いの強さや快、不快を報告。病気と同じ状態の体から出る臭いはより不快であることが判明し、病気は特有の臭いを放つことが示された。オルソン氏によると、病気のときに放つ臭いが異なることを示したのは、この実験が初めてだという。
この実験の場合、臭いの違いで病気の種類までわかったわけではないが、免疫系が活性化し体調が悪化しているという「警告」が示されたことになる。
オルソン氏はこれ以降、どれだけの投与量で臭いに気づくようになるかや、不快な臭いに対する体の反応も調べてきた。最近の実験では、嫌な臭いを嗅いだことによる不快感から健康な人の側でも若干の免疫系の反応が引き起こされ、病気から身を守ることにつながっていることを発見。チーズや発酵した魚などの嫌な臭いにさらされた人の反応を調べたところ、免疫活動にわずかな増加があることが明らかになった。
オルソン氏はほかにも、臭いの元として尿なども調査している。次の目標は、収集して人々に嗅がせるのが難しい呼気だ。「こうした炎症反応は尿の臭いにも影響を与えていることが分かった。呼気もある種の病気の存在を示す良い指標となる」と話す。
ただ、尿や呼気など代謝系に関わる臭いを調べる場合、免疫活動以外の要素も関わってくるとして、プレティ氏は慎重な姿勢を示す。「食べ物や体内の微生物が影響している可能性もあり、診断が難しくなってくる」という。