「心臓なし」で555日、臓器提供待ち続けた男性が手術 米
シンカーディア製の人工心臓「フリーダム・ドライバー」は重さ約5.9キロ。ラーキンさんの左胸部の下から伸びる2本の管で体に接続され、圧縮空気を心室に送り込んで体内の血液を循環させていた。
ラーキンさんはバックパックを背負ったままバスケットボールを楽しんだり、自分の子どもたちと過ごしたり、友人たちと車で出かけたりしていたという。
「本物の心臓と変わらない」とラーキンさんは言う。「心臓がバッグの中にあって、自分から管が突き出ているというだけ。でもそれ以外は本物の心臓のように感じられて、教科書が入ったバックパックを背負っている感じだった」
世界で初めて内蔵型の人工心臓が患者に装着されたのは2001年。この手術にかかわったルイビル大学のラマン・グレイ医師はラーキンさんの症例について、人工心臓が以後どれほど進歩してきたかを物語ると解説する。
米臓器移植ネットワークによると、全米で心臓移植を待つ患者は約4000人に上る。末期状態の心不全に陥って、腎臓や肝臓など他の臓器不全に至る患者も少なくない。その多くは、人工心臓のようなサポートを受けられないまま死亡しているという。