「グレートバリアリーフ死去」、雑誌の死亡記事で物議
ただしグレートバリアリーフが深刻な状況にあることは誰にも否定できない。オーストラリア政府に学術研究上の助言を行う豪州研究評議会(ARC)に属するサンゴ礁研究所の調査によると、同リーフの93%は白化現象の影響を受け、リーフは絶滅の危機に瀕している。
それでもまだ希望はあるとクインズランド大学のジョン・パンドルフィ教授は言い、「今はリーフの復元力を強め、自然な回復力を最大限に高めることが決定的に重要だ」と指摘する。一方で、「リーフにかつてのような回復力はない。わずか18年の間に3度も白化に見舞われて苦しんでいる」との見方を示した。
アウトサイドの記事では、グレートバリアリーフが死亡した原因はオーストラリア政府にあるとする説を展開。政府が観光業への影響を懸念して国連に圧力をかけ、気候変動に関する報告書からグレートバリアリーフに関する内容を削除させたとしている。
オーストラリア政府とクインズランド州は9月28日、グレートバリアリーフ再生計画に関する初の年次報告書を発表し、20億豪ドル(約1580億円)を投じてリーフの健康状態改善を目指す計画は実を結びつつあると報告していた。計画に盛り込まれた151項目の行動のうち29項目は実現したとする一方で、成功を続けるためには回復に向けた取り組みを加速させる必要があるとも指摘している。
グレートバリアリーフには年間200万人以上が訪れる。政府や専門家や保護団体は、その美しさを今後何世代にもわたって楽しんでもらえるよう、保護活動に力を入れている。