「ロシア疑惑」捜査の最前線――秘密のベールに隠されたFBIの対諜報部門
捜査が長期化する要因のひとつは、銀行強盗や誘拐のように明確に割り切れる案件がめったにないことだ。
ロシア関連の捜査では例えば、トランプ米大統領の関係者とキスリャク駐米ロシア大使が接触していたことの意味合いについて盛んに臆測が飛び交ってきた。
FBIの元捜査官でミシガン州選出の連邦議会議員(共和党)も務めたマイク・ロジャース氏は、接触そのものに意味はないと言及。「FBIはまずは犯罪を見つける必要がある」と指摘した。自身も議員時代に2度にわたりキスリャク大使と面会したが、それ自体は犯罪には当たらないと指摘する。
捜査が刑事訴追に結びつく場合は少なく、メディアの見出しを飾る例はもっと少ない。
例外は2015年、米ニューヨーク市で活動していたロシアのスパイ網を壊滅させたとして、防諜部門の成果が公的に認められた件だ。連邦当局によると、スパイ網を率いていたのは同市マンハッタンにあるロシア系の銀行で勤務していたエフゲニー・ブリヤコフ受刑者。ロシアのCIAに相当する対外情報局(SVR)の工作員でもあった。
CDの秘密主義は徹底しており、元捜査官ですら同部門での仕事について公的には話したがらない。