「顧みられない熱帯病」、制圧へ向け前進 WHO
(CNN) 世界保健機関(WHO)は19日、世界の貧困層や熱帯地域で蔓延(まんえん)する「顧みられない熱帯病(NTD)」に関する国際会議をスイス・ジュネーブで開き、「アフリカ睡眠病」や「シャーガス病」などの疾患について、2020年までに抑制や根絶を目指すという目標が達成されつつあると報告した。
WHOは今回の国際会議で、NTD対策ロードマップで打ち出した目標や、過去10年の成果を確認。顧みられない熱帯病は、失明や身体障害、身体の変形などを引き起こす特定の疾患が指定されており、2015年に治療を受けた患者は世界で10億人に上る。
このうち飲料水を感染源とする寄生虫が引き起こす「ギニア虫感染症」は、2016年の感染者数が世界で25人にまで減った。ブヨが媒介する「河川盲目症」では、約60%に当たる1億1400万人が治療を受けている。
WHOではこうした熱帯病について、「2030年までには過ぎ去った過去にできるかもしれない」と指摘。「全般的に大きな進展があった」と評価した。
顧みられない熱帯病は、都会から遠く離れた地域や都市のスラム街、紛争地帯などで特に危険が大きく、飲料水の汚染や不衛生な環境、貧しい住環境などが原因で発生する。
2007年には世界の関係機関が連携して対策に乗り出し、翌年にはWHOが行動計画を発表。目標の達成に向けたロンドン宣言を打ち出した。
こうした対策が奏功して、蚊が媒介する「リンパ系フィラリア症」については9カ国で根絶が確認され、西アフリカのトーゴはこのほど、アフリカの中で初めて根絶を発表した。プロジェクト開始以来、予防治療を受けた人は合計で5億5600万人に上る。