チリの謎の小型ミイラ、骨疾患の人間と判明 エイリアン説に終止符
(CNN) 米スタンフォード大などの研究チームは22日、チリのアタカマ砂漠で15年前に見つかったミイラの骨格について、ゲノム解析の結果、骨疾患を持つ人間のものと判明したとする論文を発表した。ミイラの身長は15センチほどしかなく、一部ではエイリアンとの見方も出ていた。
このミイラの名前は「アタ」。長く角ばった頭蓋骨(ずがいこつ)や斜めの眼窩(がんか)を持ち、ろっ骨も通常の12組より少ない10組しか備えていなかったことから、一層謎が深まっていた。
未確認の霊長類や地球外生命体ではないかとの臆測を呼び、あるドキュメンタリー番組では、未確認飛行物体(UFO)の研究者がアタの起源解明に取り組む様子も放映された。
研究チームは今回、5年間のゲノム解析に基づく研究結果を米科学誌「ゲノム・リサーチ」に発表。アタは人間だが、骨疾患に関連する複数の変異を遂げていたとの見方を示した。
アタは2003年、チリのアタカマ地域にある寂れた鉱山の町で見つかった。当初は古代の骨格だとみられていたが、12年に行われた初期分析の結果、死後40年ほどしか経過していなかったことが判明した。
アタをめぐる臆測の広がりを受け、スタンフォード大のギャリー・ノーラン教授が調査に着手。あばらの骨髄からサンプルを抽出し、全ゲノム配列の解析を実施した。
これを人間や霊長類のゲノムと比較した結果、チリ人を先祖に持つ女性のものと断定するに至った。おそらく胎児のものとしている。初期調査では骨年齢について6~8歳との推定が出ていたが、研究チームは今回、ミイラには骨の老化を進める珍しい障害があり、元の人物よりも年を取って見えていたことを突き止めた。