海汚すプラスチック、10年間で3倍増の予測 英報告
(CNN) 世界の海洋に投棄されたプラスチックの量は、直ちに対策を講じなければ10年間で3倍に膨れ上がる――英国の政府機関が21日、調査報告の中でそう警鐘を鳴らした。
英国政府の科学政策に対する助言を行う機関、英政府科学庁は「海洋に関する将来展望」と題した報告で、世界の海洋が「かつてない変化」に直面していると強調。人間の活動と気候変動の結果、海面並びに海水温の上昇、化学物質による汚染、海中のプラスチック量の増大といった環境上の重大な問題が引き起こされていると分析した。
とりわけ海中投棄されたゴミの7割は分解しない性質のプラスチックとみられ、その量は2015~25年で3倍に増えることが見込まれるという。
プラスチックのゴミがもたらす海洋汚染は、環境破壊の悪しき一例として研究者や活動家がこの数年にわたり言及してきた問題だ。これらのゴミは海に住む野生動物を窒息させるほか、魚介類などを有毒な化学物質で汚染する。それらを口にする人間にも健康被害をもたらす恐れがある。
世界経済フォーラム(WEF)によれば、世界の海洋にはすでに1億5000万トン前後のプラスチックが漂っており、毎年800万トンが新たに流れ込んでいる。このままいけば2050年までに、海を汚染するプラスチックの総重量はそこに住む魚のそれを上回る見込みだという。
英政府科学庁の報告は、汚染拡大に歯止めをかける取り組みとして「プラスチックの海洋流出の阻止、生分解性プラスチックの新規導入、海洋汚染に関する一般への周知キャンペーンが考えられる」と指摘した。