アルツハイマーにヘルペスが関係か、治療法の発見に期待
(CNN) アルツハイマー病の発症にはヘルペスウイルスが関係している可能性があるという研究結果が、このほど科学誌に発表された。原因の究明や治療法の確立に向けた手がかりになることが期待されている。
この研究結果は、米ASUバナー神経変性疾患研究センターなどの研究チームが21日の科学誌ニューロンに発表した。ヒトヘルペスウイルスのうち「6A型」「7型」の2種類が、アルツハイマー病に関係していることを強くうかがわせる痕跡が見つかったとしている。
研究チームはアルツハイマー病の症状がある622人の脳のデータと、症状がない322人のデータを比較した。その結果、アルツハイマー病患者の場合、脳のヘルペスウイルスの値が、患者でない人に比べて最大で2倍に達することが分かった。
米マウントサイナイ病院の研究者はこの結果について、「アルツハイマーの原因や進行にウイルスがかかわっている可能性を示す最も説得力のある証拠」と位置付ける。
ヘルペスウイルスとアルツハイマー病の関係は過去の研究でも指摘され、ウイルスによる損傷に対する反応としてアルツハイマー病を発症するという説も発表されているが、確認はされていない。
これまでの調査では、成人の約90%は50歳になるまでにヘルペスウイルスにさらされることが分かっている。しかし全員がアルツハイマー病を発症するわけではないと研究者は強調する。
米アルツハイマー協会の関係者は今回の研究について、さらなる研究が必要だとした上で、「もしウイルスなどの感染症とアルツハイマーとの関係が確認されれば、アルツハイマー病の予防や治療のための新しい抗ウイルス療法や免疫療法を発見する研究の手がかりになるかもしれない」と話している。