英EU離脱の国民投票以降、抗うつ薬の処方が増加 不安増大と関係か
(CNN) 欧州連合(EU)からの英国離脱が決まった2016年の国民投票以降、イングランドで抗うつ薬の処方が増加したという調査結果を、米ハーバード大学などの研究チームが発表した。
研究チームはこの結果について、国の将来に対する不安感が強まったことに起因する可能性があると分析し、健康を守るための対策に力を入れる必要があると指摘している。
キングス・カレッジ・ロンドンとハーバード大学の研究チームは、EU離脱の国民投票が国民の精神衛生状態に及ぼす影響について調べるため、イングランドの全326選挙区で、2011年から2016年にかけて処方された医薬品のデータを月ごとに調査。抗うつ薬の処方量と、うつとは関係なさそうな症状の治療薬の処方量を比較した。
その結果、2016年6月に国民投票が行われる前年までは、両方のグループとも処方量が年々増加していたが、国民投票後は、抗うつ薬の処方量が増え続ける一方で、他の薬品の処方量は減少に転じていた。
この研究結果は20日の英医学誌BMJに発表された。
研究者はこれについて、EU離脱の国民投票が引き金となって、抗うつ薬の処方が増えた可能性があると指摘する。ただし因果関係は証明されていないため、他の解釈もあり得るとした。
EU離脱を巡っては、離脱後の英国はどうなるのかという不安や、経済や雇用、会社の移転などに対する不安が増大している。
「そうした先行きに対する不透明感がストレスや不安を生じさせ、うつ状態が悪化した人もいるかもしれない」と研究者は推測している。