中世修道女の歯に高級顔料、装飾本の彩色に従事か ドイツ

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中世ドイツの修道女の歯から高価な顔料が検出された/Christina Warinner/Max Planck Institute

中世ドイツの修道女の歯から高価な顔料が検出された/Christina Warinner/Max Planck Institute

(CNN) 中世ドイツにあった女子修道院とつながりのある墓地から発掘された当時の女性の骨を調べたところ、歯に付着した歯垢から希少かつ高価な青色の顔料が検出された。科学誌に9日、研究論文が掲載された。中世の修道院で作成されていた豪華な装飾本の彩色に女性が携わっていた可能性を示唆する珍しい事例とみられている。

当該の修道院は14世紀に起きた戦争で焼け落ちてしまい、関連する記録がほとんど残っていない。研究者らは上記の女性について、骨の分析から死亡時の年齢を45~60歳と推定。死亡年代は997~1162年とした。外傷や感染症の痕は確認されていないという。

女性の歯には青い斑点が付着しており、分析の結果、群青色の彩色に用いる顔料のウルトラマリンであることが判明した。ウルトラマリンの原料となるラピスラズリは当時、アフガニスタンの1地域を産地とする希少な鉱物で金と同じくらい高価なものだった。

中世の修道院では、主に他の宗教施設や王侯に向けて、豪華な装飾画を挿絵とした写本の作成を行っていた。写本はウルトラマリンなどの顔料や金箔(きんぱく)で彩られていたが、これらの素材には多額のコストがかかるため、書記や描き手として非常に熟練した人物でなければ使用を許可されていなかった。

写本に作成者の名が記されるケースはまれだが、当時は男性の修道士が文字の記述や描画を行うとの認識が一般的だった。今回の研究論文によれば、女性がこうした作業に従事した記録は史料全体の中で極めて低い割合にとどまる。

論文の共著者で微生物学の観点から考古学研究を行っているモニカ・トロンプ氏は、女性の歯に顔料が付着した経緯について「最も考えられるのは、彼女自身が顔料での彩色を行っており、その作業中に筆の先をなめていたというものだ」と説明した。

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