寄り添って埋葬された男女の人骨、古代遺跡で発掘 インド
(CNN) 人類最古の文明の1つ、インダス文明の中心地だったハラッパの都市遺跡で、仲むつまじく寄り添い合った状態で埋葬された1組の男女の人骨が見つかった。同遺跡に関して、2人一緒に埋葬された事例を確認したのはこれが初めてだと研究者らは考えている。
埋葬地は首都ニューデリーから北西へ約160キロの村に位置する。2体の人骨は男性の頭部が並んで横たわる女性の方を向いた状態になっており、意図的に近づけて配置した可能性を示唆している。埋葬された年代は紀元前4500~2500年。
現場ではインドと韓国の研究者が2013年から3年間発掘を行い、数十体の人骨を発見していた。発掘チームを指揮する考古学者のバサント・シンデ氏は、男女1組の人骨について「調査の結果、彼らは同時期に死亡し埋葬されたことが分かった」と説明。並んで横たわる様子が極めて親密な関係にあったことをうかがせるとしたうえで、おそらく夫婦だったのではないかとの見方を示した。
ただ2人がそろって死亡した経緯はなぞのままだ。病気にかかっていた兆候は一切見つからず、骨にも殺害されたことを示唆する傷痕は残っていない。シンデ氏は「心臓の疾患」で死亡した可能性に言及しつつ、あくまでも推測の域を出ないと付け加えた。
女性の年齢は20代前半、男性は35~40歳とみられる。古代には夫が死亡すると妻が後を追って自ら命を絶つしきたりもあったが、専門誌に掲載されたこの男女に関する論文では、当該の埋葬にそうした慣習を当てはめるのは適切ではないとしている。
研究者らは、埋葬地の調査をさらに進めて死因をめぐるなぞを解きたいとの意欲を表明。そのうえで、「共同埋葬は、古代の家族構成やより広範な社会の実態を類推するうえで重要だ」と指摘した。