身体にも環境にも優しい「牛肉制限ダイエット」、5つのアプローチを紹介

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従来の牛肉を使用しないバーガーパテの開発が様々なアプローチで進められている/Bug Foundation

従来の牛肉を使用しないバーガーパテの開発が様々なアプローチで進められている/Bug Foundation

(CNN) 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は昨年10月、地球温暖化をこのまま放置すれば世界の平均気温は2030年にも産業革命前より1.5度上昇し、破滅的結果を招くとの報告書を発表した。

IPCCは、気温上昇を1.5度以内に抑えることは可能だが、社会のあらゆる面で広範囲にわたる、かつてないほどの改革が必要と指摘しており、この中には牛肉のような温室効果ガスを大量に発生させる食べ物から、より健康で環境にやさしい食事への世界規模の転換も含まれる。

しかし、食生活を変えるのは容易ではない。そこで今回は、決意の度合いに応じて取り組める牛肉の摂取量を減らす方法を5つ紹介する。

牛肉に野菜を混ぜたハンバーガーを試す

バーガーパテの材料を一定量マッシュルームに替えてみる/John Valls/Mushroom Council
バーガーパテの材料を一定量マッシュルームに替えてみる/John Valls/Mushroom Council

もしクォーターパウンダー(4分の1ポンドのバーガーパテを使ったハンバーガー)を今すぐにはやめられないなら、材料である牛肉の3分の1程度をマッシュルームなどの野菜に替えてみてはいかがだろうか。

世界資源研究所(WRI)が集めたデータによると、仮に米国内のすべてのハンバーガーに使用されている牛肉の3割をマッシュルームに替えると、米国の車道から230万台の車を撤去したのと同じ温室効果ガスの削減効果があるという。

肉の種類を変える

飼育の際の環境負荷が牛よりも小さい鶏の肉を使用したバーガー/Dixie D. Vereen/For The Washington Post/Getty Images
飼育の際の環境負荷が牛よりも小さい鶏の肉を使用したバーガー/Dixie D. Vereen/For The Washington Post/Getty Images

英オックスフォード大学の主任研究者で、環境の持続可能性と公衆衛生が専門のマルコ・スプリングマン氏によると、肉1キロ当たりの温室効果ガス排出量は、牛が豚や鶏の約10倍で、さらに豚や鶏の温室効果ガス排出量はマメ科植物の約10倍だという。

これは、牛は他の動物よりも多くの餌が必要で、牛の餌となる野草や牧草を育てるのに水、土地、肥料が必要になるため、とスプリングマン氏は説明する。さらに、牛は食べ物を消化する際に温室効果ガスであるメタンを排出する。牛の温室効果ガス排出量が特に多いのはそのためだ。

よって、ビーフのハンバーガーをチキンやポークに替えるだけでもかなりの効果が期待できる。

肉を一切食べない

植物由来の材料のみで牛肉に引けを取らない味を実現?/Moving Mountains
植物由来の材料のみで牛肉に引けを取らない味を実現?/Moving Mountains

(温暖化を食い止めるために)野菜のみのハンバーガーを選ぶというのは究極の犠牲かもしれないが、温室効果ガスの削減効果は圧倒的に高い。しかも今は、植物由来でありながら見た目から味、においに至るまで肉そっくりの食品が作られており、恐らく肉好きの人の食欲も満たせるだろう。

米カリフォルニア州に拠点を置くビーガンプロテインメーカー、ビヨンドミートは、ソイフリー(大豆不使用)、グルテンフリーで、見た目も焼いた時の感じも赤身肉そっくりというビーガンパテを開発した。同社によると、米国産牛肉を使用したクォーターパウンダーと比較し、水の使用量は99%、土地の使用量は93%、エネルギーの使用量は46%少なく、温室効果ガスの排出量も90%少ないという。

昆虫バーガー

昆虫由来のパテで作ったハンバーガー/Bug Foundation
昆虫由来のパテで作ったハンバーガー/Bug Foundation

ドイツに拠点を置く新興企業バグ・ファウンデーションは、ミールワーム(チャイロコメノゴミムシダマシの幼虫)で作ったハンバーガーを開発し、現在、このハンバーガーはベルギー、オランダ、ドイツの1000店以上のスーパーで販売されている。

同社の共同設立者バリス・オゼル氏によると、昆虫と牛肉を同量のたんぱく質として比較すると、昆虫は水を牛の約1000分の1、餌を10分の1しか必要とせず、温室効果ガス排出量も最も少ない場合で牛の100分の1程度だという。

スプリングマン氏も肉の代替品として昆虫を研究してきたが、上記のような環境保全上の利点には同意するものの、コスト面については懐疑的だ。高所得の国々では、昆虫はニッチな製品であるため、値段がかなり高い、と同氏は指摘する。

人工培養肉

人工培養肉は現時点でコストに大きな課題を抱える/David Parry/AP
人工培養肉は現時点でコストに大きな課題を抱える/David Parry/AP

最後の選択肢は、動物から幹細胞を抽出し、研究室内でそれらの細胞を育て、増殖させて作った人工培養肉だ。

オックスフォード大学のある研究によると、人工培養肉は従来の方法で作られた肉に比べ、温室効果ガス排出量は78~96%、エネルギー使用量は7~45%、土地の使用面積は99%、水の使用量は82~96%少ないという。

この人工培養肉を最も早く開発した企業の1社であるモサ・ミートによると、人工培養肉は健康にもプラス効果があるという。人口培養肉は無菌の環境で作られるため、食中毒のリスクを減らすことができ、さらに抗生物質や人工的に合成された成長ホルモンも含まれていない。

しかし、この人工培養肉が商品化されるまでにはしばらく時間がかかる。モサ・ミートの最高経営責任者(CEO)マーク・ポスト氏の予想では、人工培養肉の商品化には3~4年かかり、仮に商品化されても市場規模は極めて小さく、温室効果ガスの削減効果は全くないという。

今後、生産を拡大し、価格を引き下げる必要がある。モサ・ミートが2013年に公開した世界初の人工培養肉ハンバーガーの価格は33万ドル(現在のレートで約3640万円)だった。スプリングマン氏などの専門家は、価格が競争可能な水準まで下がるにはかなりの時間を要すると考えている。

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