アルプスなどの氷河、今世紀中に消失も 国際チーム研究
(CNN) 中欧やカナダ西部、米国の氷河は今世紀後半のうちにほぼ消失するとの見通しが、新たな研究で明らかになった。
世界の研究者15人で構成する国際共同チームが英科学誌ネイチャーに論文を発表した。
チームは人工衛星からの観測や450回の現地調査により、1万9000カ所に及ぶ氷河のデータを集めた。従来の研究は500カ所前後の氷河のデータに基づいていた。
新たな研究によれば、世界の氷河からは1961~2016年に9兆トン余りの氷が失われた。これはドイツの面積で厚さ約30メートル、米国の面積で厚さ1.2メートル分の氷に相当する。
氷河の融解によって、海面は最大27ミリ上昇したことになる。この期間の上昇幅の25~30%に相当する。
年間の消失量は最大約3350億トンに上っているという。執筆者の1人、チューリッヒ大学のミヒャエル・ゼンプ博士によると、このままのペースが続いた場合、欧州アルプスやニュージーランド、カナダ西部を含む数カ所では2100年までに全ての氷河が消失する。
ゼンプ博士はさらに、カナダの北極圏など、これ以外の地域では氷河の融解が始まったばかりで、2100年以降も続くということだと指摘する。
氷河が解けることによって海面が上昇するだけでなく、山の地盤が不安定になる可能性がある。農業用水や生活用水を氷河に頼ってきた地域では、水不足も懸念される。