アポロ14号が持ち帰った月面の岩石、「実は地球由来」と研究者
(CNN) 48年前にアポロ14号で月面に着陸した飛行士が持ち帰った岩石のサンプルが、実際には地球由来のものであったとする研究論文が、このほど科学誌に掲載された。彗星(すいせい)か小惑星が地球に衝突した衝撃で岩石が宇宙空間へと飛ばされ、偶然その先にあった月に激突したという。
当該の岩石には石英、長石、ジルコンといった鉱物が含まれている。これらは地球なら非常にありふれた鉱物だが、月の地質における含有量はあまり多くない。
また岩石が形成された温度や環境を分析したところ、月ではなく地球の特徴との関連を示す結果が得られた。岩石の結晶化は地球がまだ若かった40億~41億年前に、地表から約20キロの深さで起こったという。
当時の地球には小惑星が複数回衝突していたことから、岩石は1度もしくは数度の衝突で地表に露出し、別の衝突によって大気圏外に弾き飛ばされたと考えられる。その後、現在の3分の1の距離にあった月にぶつかったと研究者らはみている。
月に激突した岩石は一部を溶解させながら月面下にめり込んだが、2600万年前の小惑星の衝突で再び月面に姿を現した。
今回の研究を主導した月の専門家、デービッド・クリング氏は、地球の岩石が宇宙空間へ飛び出して月に激突したとする分析結果について、地質学者の中には異論を唱える向きもあるだろうと認めつつ、度重なる小惑星の衝突にさらされていた誕生直後の地球の状況を考慮すればそこまで驚くような話ではないとの見解を示した。