アインシュタインの手紙が競売に 「ヒトラーの狂気」に触れたものも
(CNN) ドイツ出身のユダヤ人物理学者、アルベルト・アインシュタインが「ヒトラーの狂気」を糾弾した直筆の手紙が、28日のオークションに出品される。
出品される手紙のうち、1921~39年に書かれた3通では、当時のドイツのヒトラー台頭と、ユダヤ人の抵抗に触れている。
オークションを主催するネイト・D・サンダースによると、妹に宛てた1921年の手紙は、ユダヤ人虐殺を予感する内容で、命の危険を感じてミュンヘン行きを断ったと述べ、ミュンヘンは反ユダヤ人感情の波が押し寄せていると記していた。
1934年の手紙は最初の妻に宛てたもので、生きていくために自分は自らの行動を極端に制約していると伝え、「何もかもヒトラーの狂気が原因だ。私の周りの人はみな、人生を完全に破壊された」としていた。
ユダヤ人が迫害される中、第2次世界大戦勃発の約3カ月前に書かれた1939年の手紙では、「ユダヤ人が何千年もの間生き延びる原動力となってきた抵抗の力は、大部分が助け合いの伝統に基づいている」と指摘した。
オークションの開始価格はそれぞれ1万2000~2万5000ドル(約130万~275万円)。
ナチス・ドイツによって虐殺されたユダヤ人は600万人と推定される。ネイト・D・サンダースによると、アインシュタインは欧州のユダヤ人を救おうと努力したが、ヒトラーが実権を握った1933年にドイツ国籍を捨てて米国へ移住した。