地球上の植物、過去250年で約600種が絶滅
地球上で過去250年間に600種近くの植物が絶滅していたことが、新たな研究で分かった。この数は同時期に絶滅した鳥類やほ乳類、両生類の2倍以上に相当するという。
英王立植物園とスウェーデン・ストックホルム大学の研究者らが10日、オンライン科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション」に論文を発表した。
それによると、250年の間に世界で絶滅した植物は571種。人間の影響がなかったと仮定した場合に比べ、最大500倍のスピードで絶滅が進んでいる。動物が絶滅するスピードも同じく、本来の1000倍以上に達しているという。
執筆者の一人は、植物の絶滅はこれまで見過ごされがちだったと指摘。「この数百年で絶滅したほ乳類や鳥類の名前は言えても、植物を挙げられる人はほとんどいない」と話す。
特に離島や熱帯、地中海沿岸など、人間活動の影響を受けやすい独特の種が多くみられる地域で絶滅が進んでいるという。限られた地域にしか生息しない珍しい植物が、絶滅に追い込まれたというケースは多い。
チームによれば、植物は人間に酸素や食物を提供し、世界の生態系の基幹となっている。その絶滅は人間をはじめ、あらゆる種に影響を及ぼす。
この研究では一方で、すでに絶滅したと考えられていた430種が再発見された。ただしそのうち9割は絶滅の危険性が高いことも分かったという。
国連が先月発表した報告書では、世界の動植物800万種のうち、100万種が絶滅の危険にさらされていると指摘されていた。