インドのトラ、獲物とメスを求めて1300キロの旅
ニューデリー(CNN) インドの森林当局が観察を続けているオスのトラが、獲物やつがいの相手を求めて旅した距離が1300キロを記録した。インドで確認されたトラの移動距離としては過去最高になるという。
「T1―C1」と名付けられた2歳半のトラは、森林や人口密集地を通り抜け、5カ月かけて自然保護区にたどり着いていた。
オスのトラには一般的に、自分の縄張りを確保できる新しい場所を見つけるため、生まれた場所を離れて生息地を移動する習性がある。
T1―C1は2016年に3頭の兄弟の1頭として誕生。インド西部マハラシュトラ州森林局は19年2月、若いトラの移動パターンを調べるため、衛星信号で追跡できる首輪をこの3頭に取り付けた。
衛星信号で追跡できる首輪をトラにつけて追跡調査を行った/Maharashtra Forest Department
6月下旬、T1―C1は餌場やつがいの相手を探すため、別のオスの縄張りだったマハラシュトラ州の野生生物保護区を離れた。
途中で畜牛やアンテロープなどの野生生物を餌にしながら、南部のテランガナ州とマハラシュトラ州の間を何度か往復。その後、出発地点から約300キロ北西にあるマハラシュトラ州内の別の野生生物保護区にたどり着いた。現在もこの保護区にいて、観察が続けられている。
追跡装置はT1―C1に取り付けてから9カ月がたっており、バッテリーが切れた時点で取り外される。
同保護区の担当者は、「この地域は自然が豊かで、このトラが生き延びられるだけの獲物もいる。ここに落ちつくことに決めるかもしれない」と話す。
T1―C1は今回の移動を通じて11の集落を通過していた。森林局は、トラの移動ルートを把握することにより、人とトラとの衝突を避ける対策に役立てたいとしている。