ホッキョクグマ60頭が餌求めて出没 ロシア極東

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平年より高い気温や氷の融解によってホッキョクグマの狩猟環境にも影響が出ている/Maxim Deminov/WWF Russia

平年より高い気温や氷の融解によってホッキョクグマの狩猟環境にも影響が出ている/Maxim Deminov/WWF Russia

(CNN) ロシア極東部チュコト地方のリルカイピ村周辺に餌を求めるホッキョクグマ約60頭が大挙して出没する異例の事態が起き、公開行事が中止となり住民が家内に閉じこもるなどの被害が出ている。国営メディアなどが伝えた。

世界自然保護基金(WWF)のロシア支部の声明によると、クマは今秋以降、村近くにある北極海の沿岸部に残っているセイウチの死がいをあさっている。子どもの個体を含めたほぼ全頭がやせた状態にあるという。

通常より高い気温で氷が解け、クマの獲物探しに悪影響を与えていると指摘。氷の厚さが十分なら、アザラシなどの餌を海で探しているはずだとし、今回と似たような事態が普通の状況になりつつあるとも説明した。住民とクマが共に被害を受けないよう環境に適応する必要があるとも強調した。

ロシアのタス通信によると、同村の人口は約500人。近くにあるウランゲル島はホッキョクグマが出産する場所として有名だという。

WWFによると、多数のクマの出現を受け同村ではボランティアや村民らが周辺地域で監視活動を開始。子どもは接触を避けるためバスで通学している。

住民らによるパトロールが行われている/Maxim Deminov/WWF Russia
住民らによるパトロールが行われている/Maxim Deminov/WWF Russia

ロシア北部の生物環境問題などを調べている研究所によると、近年では3~5頭以上の一群が同村周辺に現れるのは極めて異例だった。セイウチが周辺の海を離れ、生息数が減るなら、腹をすかしたクマは海にとどまらず次の行動を起こすとも警告した。

同研究所の科学者によると、ホッキョクグマは人間に近づいた場合、通常は穏やかな振る舞いを示してきた。リルカイピ村で人間が殺されたのは2011年が最後となっている。

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