新型コロナウイルスの死者、男性の方が女性より多い理由とは
過去に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)でも、男性の方が死亡率が高い傾向にあった。
生物学的にも、子どもを産む性である女性の方がウイルス感染に対する免疫反応が強く、それが生存率の高さにつながっていることを示す研究もある。
これまでの報告では、COVID―19は高血圧、心血管疾患、慢性肺疾患などの基礎疾患を持つ患者が重症化しやすいことが分かっている。こうした疾患を持つ患者は、今回の調査対象とした6カ国でも、世界的にも、男性の方が多い。
イタリア国立衛生研究所の状況報告書によれば、COVID―19検査で陽性だった喫煙者は非喫煙者に比べ、重症化する患者が3割以上多かった。
集中治療や人工呼吸器を必要とする喫煙者は、非喫煙者の2倍を超えている。
イタリアの男性は同じ年齢層の女性に比べて高血圧の割合が高く、中国の男性は血圧が高くて2型糖尿病の症状をもつ人も多い。
もしもコロナウイルスに感染すれば、そうした要因全てが合併症を引き起こし得る。
ただ、米国などでは男女別の死者に関するデータが欠如していることから、政府が特に重症化しやすい特定層に照準を絞った公衆衛生政策を打ち出す機会を逸しかねないと専門家は危惧している。