都市部への「植林」で早死にを抑制か 米研究
(CNN) 都市部に木々を植えることが早死にの抑制につながるかもしれないとの研究結果が医学誌に発表された。今回の研究によれば、米ペンシルベニア州フィラデルフィアで木陰の量を5年以内に20%から30%に増やすことで最大403人の早死にを抑制できる可能性があるとしている。
こうした取り組みをフィラデルフィア市が行えば年間40億ドル(約4300億円)近い経済効果を生み出すとの試算も出された。研究者らは、フィラデルフィア市に限らずこうした植樹による効果は出るはずだとの見方を示している。
昨年発表された研究では、7カ国の800万人を対象にした調査によって、近くに緑の空間がある都市部の住人は早死にする可能性が小さくなるとの結果が示されていた。
今回の研究では、より広い緑の空間によってより多くの早死にが抑制されるとしてフィラデルフィア市を舞台に3つのシナリオを考えた。
既存の林冠のデータは上空や衛星からの画像を基にし、樹冠や葉っぱ、枝などで覆われている範囲を測定した。
今回の研究の試算によれば、樹木に覆われている部分が30%に達すれば毎年403人の早死にを抑制できるという。
さまざまな種類の草木も健康に良い影響を与えると考えられているが、今回の研究では樹木が特に良い影響があるとみられることがわかった。樹冠は他の草木よりも気温を下げる効果が高いという。
これまでの研究でも樹木がさまざまな方法で健康に好影響を与える可能性が示唆されてきた。個人のレベルでは緑の空間があることで運動がしやすくなったりするほか、自然を取り込むことがストレスの低減や精神状態の改善につながる可能性があるという。