世界の野生生物、40年で平均68%減少 WWF
(CNN) 世界自然保護基金(WWF)は9日、世界の野生生物の個体数がわずか40年あまりで平均68%減ったとする報告書を発表した。
報告書によると、調査対象とした哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類(はちゅうるい)、両生類4392種あまりで、1970~2016年にかけて個体数が減少していることが分かった。これほどの急減は、過去数百万年の間見られなかった現象だとしている。
特に深刻だったのは中南米とカリブ海地域で、野生生物の個体数は平均で94%減った。
主な要因としては、草原やサバンナ、森林、湿地の生息地が失われたことや、野生生物の乱獲、外来種の導入、気候変動を挙げている。
人類は、氷に覆われていない地表の75%を大きく変えてしまったと報告書は指摘する。
WWFによると、生態系の破壊によって今、動物・植物50万種と昆虫50万種が数十年から数百年のうちに絶滅する危機にさらされているという。
それでも人間が食糧生産や消費の在り方を変革させ、気候変動問題や自然保護に取り組むといった緊急の対策を実行すれば、そうした減少傾向に歯止めがかかり、覆すことさえできるかもしれないと専門家は予想する。
人間による自然破壊は、新型コロナウイルスのように動物から人に感染する疾病のリスクももたらすとWWFは指摘。WWF米国代表のカーター・ロバーツ氏は、「野生生物がサプライチェーンに長くとどまるほど、野生生物の病気が人間に波及するリスクは高まる。我々はパンデミックの脅威とロシアンルーレットをやっている。そしていずれは我々が負ける。新型コロナウイルスはその始まりにすぎない」と警鐘を鳴らした。