マヤ人捕らえた奴隷船を初の確認、メキシコ沖の沈没船調査
(CNN) メキシコの考古学研究チームが、東部のユカタン半島沖で発見された難破船について、先住民マヤ人の奴隷取引に使われた船だったことが確認されたと発表した。マヤ人の奴隷船が見つかったのは初めてだとしている。
この研究結果はメキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)が15日に発表した。
「ラ・ウニオン」と呼ばれる外輪蒸気船の残骸は、ユカタン半島北部のシサルから約2カイリ(約3.7キロ)沖合のメキシコ湾で2017年に考古学チームが発見した。しかしマヤの奴隷船だったことが確認されるまでには、それから3年を要した。
同船は1855年~1861年にかけ、月に25~30人ほどのマヤ人を捕らえてキューバに運び、サトウキビ畑で強制労働させていた。INAHによると、この時代のユカタン半島では「カースト戦争」と呼ばれるマヤ人の反乱が起きていた。
「ラ・ウニオン」は1855年~1861年にマヤ人の奴隷を運んでいた/Mexico's National Institute of Archaeology and History/Reuters
奴隷は1人当たり25ペソで仲介業者に売られ、キューバのハバナで男性は160ペソ、女性は120ペソで売られていたという。
同船は1861年9月19日、キューバに向かう途中で沈没した。メキシコは1829年に奴隷制を廃止し、マヤ人の強制連行にも禁止令を出したにもかかわらず、奴隷取引が続いていたことがこれで証明されたと研究チームは指摘する。
研究チームは、爆発して火災が起きる原因となったボイラーと、形が残っていた木製の外輪から、同船の船籍を突き止めた。ガラス瓶の破片や陶器、一等席の乗客が使っていた真鍮(しんちゅう)製の食器なども見つかった。
沈没事故によって乗員80人と乗客60人の半数が死亡した。しかしマヤ人の奴隷は乗客ではなく積み荷や商品として記載されていたことから、死者の数は分かっていない。