生まれたばかりのティラノサウルス、中型犬ほどの大きさ 胚の化石で解明
(CNN) 太古の肉食恐竜ティラノサウルスの生まれたばかりの大きさは中型犬と同等だったとする新たな研究結果が25日刊行の論文で発表された。世界で初めて確認したティラノサウルスの胚(はい)の化石を分析したという。
英エジンバラ大学の研究によると、卵からかえったばかりのティラノサウルスの体長は約90センチだったとみられる。古生物学者のチームが、胚の化石を調べた。化石はあごとつめの骨で、それぞれカナダと米国で見つかった。
化石を3Dスキャンで調べたところ、ティラノサウルスがかえった卵の大きさは約43センチだったとも推定できた。ティラノサウルスの卵の化石はまだ発見されていないが、今後見つかるのではないかと研究者らは期待を寄せる。
エジンバラ大学の古生物学者で論文の筆頭著者を務めたグレッグ・ファンストン氏によれば、恐竜の骨は大きなものの方が耐久性が高く、化石として残りやすい。そのため赤ん坊の恐竜の骨が化石で見つかるのは極めて珍しいという。
ティラノサウルスと人間との体長比較図。左から成長したアルバートサウルス、胚の段階のアルバートサウルス、同ダスレプトサウルス、古生物学者のグレッグ・ファンストン博士/Greg Funston
上記のつめとあごの化石は、それぞれともにティラノサウルス科のアルバートサウルスとダスプレトサウルスのもの。どちらも成長すると体長10メートル以上になるが、12メートルほどにまで成長するティラノサウルス・レックスよりはやや小型だとファンストン氏は指摘する。
わずか2.5センチ余りのあごの骨には、ティラノサウルス科に固有の特徴が先端部などにみられるという。ティラノサウルスは一生の間に身体的な変化を何度も遂げることで知られるが、今回の発見により、生まれる前の胚の時点ですでにある種の特徴を備えていたことが示されたとファンストン氏は結論している。
胚の段階にあるティラノサウルスのあごの骨/Greg Funston
論文はカナディアン・ジャーナル・オブ・アース・サイエンシズ誌に掲載された。
ファンストン氏は今後の計画として、より高解像度で化石をスキャンし、歯の発達具合を解析したいとしている。それにより、ティラノサウルスが孵化(ふか)する前にどのくらいの期間卵の中で過ごすのかが分かる可能性があるという。