生命の起源を秘めた超希少な隕石、英国に落下 はやぶさ2の回収に匹敵
(CNN) 英国と北欧で2月28日に流れ星(火球)が観測され、極めて希少な隕石(いんせき)が英グロースターシャー州に落下していたことが分かった。太陽系の初期や地球上の生命の謎を解く鍵を秘めている可能性もあるとされる。
隕石の重さは約300グラム。同州コッツウォルズ地方の小さな町ウィンチクームの路上で研究者が回収した。この隕石を構成する炭素質コンドライトは太陽系の中でも特に原始的かつ純粋な物質で、生命の源となる有機物とアミノ酸を含むことで知られる。
英ロンドンの自然史博物館によると、隕石の断片は極めて良好な状態で、落下直後に回収されたことから、質・量ともに宇宙ミッションを通じて回収された岩石のサンプルに匹敵する。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から持ち帰った約5.4グラムの断片に似ているという。
地球上で知られている隕石の数は約6万5000個。そのうち落下の様子が目撃されたのは1206個のみで、炭素質コンドライトの隕石は51個しかない。
今回見つかった隕石は秒速約14キロの速度で大気圏に突入し、ウィンチクームの路上に落下した。同地ではほかにも複数の断片が回収されている。
この隕石は大気圏突入時に夜空で「火球」となった/from Beny Stanley/Markus Kempf/AllSky7 Network
目撃者が撮影した映像や英国の観測団体がとらえた映像は、この隕石が太陽系のどこから来たのかを正確に突き止める手がかりになる。「隕石はほぼ全てが、太陽系の残骸である小惑星からやって来る。これは地球のような惑星がどのように形成されたのかを物語る」と同博物館の専門家は解説する。
隕石は地球上のどの岩石よりもずっと古く、通常は何千年もの旅を経て太陽や地球に落下する。大気圏を突き抜ける際に明るい火球が観測されることもある。