山火事で避難の住民、渋滞に巻き込まれバイオリン演奏 米カリフォルニア州
(CNN) 大規模な山火事が発生して住宅地に迫った米カリフォルニア州北部のレイクタホ。自宅から避難する途中で渋滞に巻き込まれた男性が、心を落ち着かせようと道路でバイオリンを演奏する一幕があった。
バイオリンを演奏したのはメル・スモサーズさん。自身で状況を判断して8月30日、妻のリズさんと愛犬のピークと共に避難することを決め、出発後に避難命令が出たことを知ったという。
CNNの取材に対してスモサーズさんは「ひどい交通渋滞だった。グレイトフル・デッドのコンサート後の渋滞よりひどかった」と冗談交じりに語り、「半ブロックほど行ったところでまったく動けなくなった」と振り返る。
スモサーズさんはジュリアード音楽院の講習を受けて6年前からバイオリンを演奏するようになり、普段から練習を続けていた。そこですぐに車から出て、バイオリンを弾き始めた。
「ただじっと座って時間を無駄にすることはできなかった」「みんなが車の中で私の演奏を聴いているように思え、自分がパフォーマンスを披露するような気持ちでいた。けれど実際はそんなことはなかった」
間もなく通りかかったジャーナリストがスモサーズさんに目を留め、写真を撮影した。妻は冗談で、注目を浴びてしまうと困るので、演奏はやめた方がいいと夫に声をかけたという。
「私は誰かがギターかマンドリンを持ってきてくれないかと周りを見回した。音楽を演奏する喜びは、私を本当にいい気分にさせてくれる」とスモサーズさんは言う。
普段は2時間半で行けるサクラメントにたどり着いたのは、7時間半後だった。今回の火災についてスモサーズさんは「かなり厚い煙が立ち込め、灰が降っていた。まるでポンペイだった」と話している。