古代都市に雑種のラクダ存在か、ハトラ遺跡から証拠見つかる イラク
政治権力のアピール
ラクダは女神アラートにとって神聖な動物と考えられていたようで、神殿内の他の彫刻やフリーズにもラクダに横乗りする女神の姿が見られる。
アラート神殿は、宗教的な参詣者だけでなく、交易のキャラバン隊らも目にしたことだろう。神殿では市場も開かれていたかもしれない。
ビダーレ氏は「サナトゥルク1世は、イスラム以前のアラブにおける最も重要な神の1人であるアラートを取り入れた神殿を建設するという大胆な行動に出たようだ」と言う。
最高のラクダを育て、所有することは、王と神聖な動物との間に直接的な関係を築き、ハトラが強大な近隣諸国に屈しないことを特徴づける政治的な動きでもあった。
ビダーレ氏は「王はアラブの集団にアピールすることで、ハトラをパルティア帝国の影から切り離すという重大な一歩を踏み出した」と説明した。
サナトゥルク1世はこの特別なラクダを独占的に飼育していた可能性がある。研究論文には、王は、ハトラに豊かさをもたらし、貿易利益を拡大することができる古代シルクロードの長距離キャラバンを管理することにも関心を持っていた可能性があると記されている。