古代都市に雑種のラクダ存在か、ハトラ遺跡から証拠見つかる イラク
(CNN) イラク北部の古代都市ハトラに雑種のラクダが存在していたことを示す証拠が、遺跡内のアラート神殿で修復作業を行っていた考古学者によって発見された。研究の詳細結果は考古学の学術誌「アンティクイティ」に発表された。
アラート神殿は紀元2世紀に建てられ、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録されているハトラ遺跡にある。かつてハトラは広大な都市で、神殿は中心地として機能していた。ハトラ遺跡は2015年から17年にかけて、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」によって破壊されたが、神殿はそれ以前も、何十年にもわたり放置されていた。
研究者らは神殿の修復作業を行っている最中、扉の上にあるフリーズ(小壁)に思いがけないものを発見した。横長の石造りの彫刻作品には、2種類のラクダが交配して生まれた雑種のラクダが描かれているように見えたという。
このラクダの彫刻は、ハトラがローマ帝国やパルティア帝国の近隣にある小さな王国であったことや、近隣諸国が友好的というよりも、むしろ敵対的であったことを、研究者が理解する上で大きな助けとなった。
またこの作品は、雑種のラクダがいつ、どこで交配されたかを示す証拠にもなっている。研究者たちはこれまで、異なる種類のラクダは、主に領土を拡大していた帝国内で交配されたと考えていた。今回の発見により、交配はより広く行われていたことが示された。
イタリア・パドバ大学のマッシモ・ビダーレ准教授は「この作品はラクダの飼育、管理、交配に王が直接関与しているという明確なメッセージを表しているように見える」と述べている。