光り輝く金星表面を撮影、まるで「炉から取り出した鉄」
一連の画像には金星表面がかすかな光を放つ様子が映っているほか、平原や高原、大陸のような地形が確認できる。地球大気にも存在する光り輝く酸素の輪「エアグロー」も見える。
金星は大きさや構造が地球と似ていることから、地球の「双子」と呼ばれることが多い。パーカーが捉えたような画像は、金星が鉛を溶かすほど高温になる一方で、地球が生命の安息の地になったのはなぜかを解明する手がかりになる可能性がある。
「金星は空で3番目に明るい星だが、厚い大気で視界が妨げられているため、最近まで表面の様子についてあまり情報がなかった」とウッド氏。「今ようやく、我々は初めて宇宙から可視光の波長で金星表面を見ることが出来ている」
1990年代前半に行われたNASAマゼラン計画のような以前の金星探査では、厚い雲を透視できるレーダーや赤外線検出器を駆使して金星に関する知見がもたらされた。
今回の新たな画像を手がかりに、研究者は金星の地質や鉱物に関しさらに多くの知見を得られそうだ。
パーカーは引き続き金星の重力アシストを利用して太陽に接近する予定だが、次回のフライバイの軌道では画像撮影は実施できない。次に金星を撮影する機会は、2024年11月に行われる7回目の最後のフライバイとなる。
20年代後半には、金星を対象にした「ベリタス」や「ダビンチ」のようなミッションも予定されている。金星大気の撮影や試料採取を行ったり、赤外線で金星表面の高解像度マップを作成したりする見通しだ。
NASA惑星科学部長のロリ・グレーズ氏はこうした今後のミッションについて、「金星の表面や大気を調査することで、科学者が金星の成り立ちや現在のように居住不可能な場所になった要因を理解する助けになればと思う」と語る。
「ダビンチとベリタスは主に近赤外線撮像を使う予定だが、パーカーの調査結果は多様な波長を使うことの重要性を示している」(グレーズ氏)