ネイルサロンのドライヤー、DNA損傷や細胞の変異を引き起こす可能性 米研究

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ネイルドライヤーが細胞の変異を引き起こす可能性があると指摘した研究結果が発表された/Nomad_Soul/Adobe Stock

ネイルドライヤーが細胞の変異を引き起こす可能性があると指摘した研究結果が発表された/Nomad_Soul/Adobe Stock

(CNN) ネイルサロンでマニキュアを乾かすために一般的に使われているネイルドライヤーについて、放射線によってDNAが損傷し、がんの原因となる細胞の変異を引き起こす可能性があるという研究結果が発表された。

この研究は17日の科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。これについて、どんな光源であれ、紫外線(UV)についての懸念は以前から指摘されていたという皮膚科医もいる。それでも、実際にマニキュアのやり方を変えたりジェルマニキュアを一切やめたりしている皮膚科医がいる理由が、今回の研究で改めて確認された。

「今回の研究結果は(UV)放射線の有害性に関して既に発表されているデータに貢献するもので、皮膚がんにつながり得る直接的な細胞死や組織の損傷が示された」。この研究にはかかわっていないユタ大学のジュリア・カーティス准教授はそう解説する。

「日焼けマシンは発がん性が指摘されている。ジェルネイルを固めるUVランプはミニ日焼けマシンだ」(カーティス氏)

UCAR科学教育センターによると、電磁放射線の1種である紫外線の波長は10~400ナノメートル。

太陽光に含まれる紫外線A波(315~400ナノメートル)は皮膚の奥にまで浸透し、過去10年の間に普及したUVネイルドライヤーに一般的に使われている。研究チームの発表によれば、日焼けマシンには280~400ナノメートル、ネイルドライヤーには340~395ナノメートルの波長が使われている。

論文筆者でカリフォルニア大学サンディエゴ校のルドミル・アレクサンドロフ准教授は発表の中で、「こうした装置は安全で何の心配もないと宣伝されているが、私たちが知る限り、こうした装置が実際に分子レベル・細胞レベルで人の細胞にどんな影響を与えるのか、実際に研究した人はこれまでいなかった」と指摘している。

研究チームが人の細胞とネズミの細胞にUV光線を当てる実験を行った結果、20分の照射で細胞の20~30%が死滅することが分かった。20分の照射を3回繰り返すと、細胞の死滅は65~70%に及んだ。残る細胞もミトコンドリアやDNAが損傷し、皮膚がんに見られるのと同じパターンの変異を引き起こしていた。

一方、米ニューヨーク市の皮膚科医ジュリー・ラサック氏は、この研究の最大の限界として、細胞株へのUV光線照射は、生きた人や動物への照射とは異なると指摘する。

「人の手の内部に(紫外線照射を)行う場合とは決定的に違いがある」「UV放射線の大部分は皮膚の最上層に吸収される。シャーレの中の細胞に直接照射する場合は少し違う。皮膚の角質細胞や表層による守りは一切ない。非常に直接的なUVA(紫外線A波)照射でもある」(ラサック氏)

ただ、過去にはUVAドライヤーに関連して扁平(へんぺい)上皮がん(2番目に多い皮膚がん)を発症した患者の症例報告なども発表されており、今回の研究を併せて考えると、「何の保護もなく手や指をUVA光線にさらすことについて、間違いなくもっと厳しく考える必要がある」と米コーネル医科大学のシャリ・リプナー准教授は話している。

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