グリーンランドと南極の氷床が急速に融解、海面上昇促す 衛星データで判明
氷の喪失は海面を21ミリ押し上げたと報告は指摘する。現在の世界の海面上昇は全体の4分の1が氷床の融解によるものとされ、この比率は1990年代から5倍に増えている。
研究論文の筆頭著者を務めた英リーズ大学のイネス・オトサカ特別研究員は、膨大な量の氷が融解したことへの強い懸念を表明。世界人口の4割が沿岸地域で生活していることを理由に挙げた。
南極の融解速度は1990年代に比べてはるかに速くなっている/Gallo Images/Orbital Horizon/Copernicus Sentinel Data/Getty Images
南極の氷床の融解ペースは低下こそしているものの、90年代と比較すれば依然として格段に速いと、研究者らは指摘する。具体的には南極半島と南極西部で最も大規模な融解が起きているという。当該の地域に位置するスウェイツ氷河は、崩壊すれば壊滅的な海面上昇をもたらすことから「終末の氷河」と呼ばれる。
IMBIEの科学者らは毎年分析を行うとしている/Sergio Pitamitz/VWPCS/AP
オトサカ氏によると、グリーンランドの氷床は今後も引き続き失われることが予想される一方、南極の氷床がどうなるかはまだ判然としないという。
温暖化が一定の水準を超えれば強大な影響をもたらすメカニズムが発動し、将来的に段違いの海面上昇を引き起こす恐れもあると、オトサカ氏は警告した。