日本の民間月着陸船、歴史的な着陸試みるも失敗か 通信確立できず
(CNN) 日本の宇宙ベンチャー「ispace(アイスペース)」が開発した月着陸船は米国時間25日、月面着陸を試みた。民間開発の宇宙船が月面着陸すれば世界初の快挙だったが、管制室は通信を再確立できず、同社は、推定では月面着陸を完了できていない可能性があると述べた。
着陸船は昨年12月11日、フロリダ州ケープカナベラルから米宇宙企業スペースXのロケットで打ち上げられた。その後、着陸船は低エネルギー軌道を採用しながら約3カ月かけて移動し、月周回軌道に入った。宇宙空間での移動距離は全部で約140万キロに上った。
月面着陸は米東部時間25日午後0時40分、日本時間26日午前1時40分に行われる予定だった。
予想されていた通信途絶の後、管制チームが通信の再確立を試みる中で時間が過ぎていった。着陸予定時刻から約20分後、ispaceの袴田武史・最高経営責任者(CEO)が状況を報告した。
袴田氏は「月面への着陸が確認できていない」と説明。月面着陸を完了できなかったと想定せざるを得ないと述べ、同社の技術者が引き続き調査すると明らかにした。
月面探査計画「HAKUTO―R」の着陸機を載せ打ち上げられるスペースXのロケット「ファルコン9」=2022年12月11日、米フロリダ州ケープカナベラル/Paul Hennessy/Anadolu Agency/Getty Images
今回の月面探査計画は「HAKUTO―R」と呼ばれ、着陸船にはドバイのムハンマド・ビン・ラシード宇宙センターが製造したアラブ世界初の月面探査車「ラシード」を搭載していた。
歴史上、月への制御された着陸に成功した国は米国と旧ソ連、中国の3カ国しかない。月に人間を送り込んだ国は今に至るまで米国のみだ。
ispaceはこれまでの月ミッションとは異なる方法を採用し、1カ国の旗の下ではなく、営利事業として宇宙船の月面着陸を試みていた。