見た目が風変りなカメ、密猟増加で絶滅の危機に 香港
だが多くの場合、爬虫類の基本的なニーズが無視されていたという。チャン氏は香港の多くの家庭で飼われている一般的なブラジル産の品種を挙げ、「小さなカメだが、生きていくためには太陽と澄んだ水が必要だ」と説明した。
また、カメが合法的に取引されている場合でも、グレーゾーンが存在することがある。
ADMの野生生物プログラムのマネジャー、サム・イングリス氏によると、15年から22年の間に輸入された430万匹のうち、合法的に再輸出されたカメはわずか数十万匹だったことが輸出記録で示されており、そのほとんどは香港にとどまったか、死んだか、消費されたか、香港から違法に持ち出されたことを示唆している。「真実はおそらく、これらのシナリオのどこかにある」と、イングリス氏は指摘した。
香港の漁農自然護理署(AFCD)はCNNに対し、「野生動物の保護に向け、違法な狩猟行為に対抗する努力を惜しまない」と述べ、警察や地元の動物保護団体と協力して営巣地のパトロールや動物の罠の撤去に取り組んでいると説明した。
AFCDによれば、20年以降に検知した野生動物狩猟の47件のうち、24件で起訴に成功した。また同期間中、絶滅危惧種の淡水ガメの所持に関連する38件のうち4件で起訴に成功したという。
それでもなお、一部の密猟者たちは夜間に活動し、しばしば武器を携行するなど、ますます強引な手法を取っているため、この問題は、AFCDではなく警察が対応するほうが望ましいことを意味している。宋氏は、自身のカメラが密猟者に破壊されたと思われる2カ所の現場に取材班を案内してくれた。
香港警察はCNNに対し、AFCDは密猟対策における「主要部門」であり、「要請に応じて」支援や共同作戦に参加していると述べた。
しかし、世界自然保護基金(WWF)香港の野生生物保護マネジャー、ジョビー・チャン氏は、効果的な取り締まりを行うには、密猟産業を支えている違法な資金の流れを追跡することが必要であり、銀行口座を追跡する権限を持たないAFCDの権限を超えるものであると述べた。また同氏は、さまざまな法律でカバーされている密猟は、そのどれもが同じ罰則が適用されるわけではないため、法改正が必要だと考えている。例えば、野生動物保護条例の場合、最高刑は禁錮1年だ。
法律を変えることは、宋氏や大学の研究者の権限をはるかに超えている。現在のところは、これらのカメの個体数が減り続けていることを記録するために、できる限りのことをしなければならない。
極めて危険な状態にあると宋氏は訴える。
「もし香港がうまくやれば、警察が狩猟対策に積極的に関与するようになれば、他の地域や中国本土に、これが実際に可能であることを示すことができる。パトロールや取り締まりのシステムを変えなければ、数年後には絶滅してしまうだろう」(宋氏)