NASAの未確認現象研究チーム、初の報告書公表へ
(CNN) 米航空宇宙局(NASA)が未確認異常現象(別名・未確認飛行物体=UFO)解明のために設置した専門家16人のチームが、この夏、初の報告書を公表する。
NASAのダン・エバンズ氏は5月31日の記者会見で、「未確認異常現象は国民や科学界、昨今は米政府からも注目されており、科学研究で定評のあるNASAが力を合わせてそうした現象を調べることは我々の責任だと確信する」と語った。
記者会見を前にNASAは、未確認異常現象のデータ分類と検証を担う独立研究チームの主導で、数時間に及ぶ公開ミーティングを行った。
未確認異常現象(UAP)は、NASAが「科学的見地からは航空機とも既知の自然現象とも特定できない空中の出来事」と定義する現象。
従来は未確認航空現象と呼ばれていたが、昨年12月に制定された国防権限法でUAPに変更された。UAPの研究には宇宙付近や海底の現象も含めるべきだとする認識に基づく変更だった。
ただしUAPの観測数には限りがあることから、こうした出来事の性質について科学的結論を出すことは難しいとNASAは指摘。「報告書はUAPの性質や出所の解明に向けて今後どのようなデータが収集できるかをNASAに提示する」と説明している。
9カ月に及ぶ研究は2022年10月24日に始まり、23年5月31日に最終検討会を実施。7月末までに報告書を公表する。
独立研究チームは宇宙生物学、データサイエンス、海洋学、遺伝学、政策、惑星科学といったさまざまな分野の専門家で構成され、米海軍戦闘機パイロットの経験をもつNASAのスコット・ケリー元宇宙飛行士も参加。宇宙物理学者で米サイモンズ財団会長を務めるデビッド・スパーゲル氏がチームを率いている。