死者を葬る人肉食、1万5000年前の欧州で普及 英研究

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研究者らは以前から英国のゴフ洞窟でカップ形の頭蓋骨を発見していた/Derek Adams/Trustees of the Natural History Museum

研究者らは以前から英国のゴフ洞窟でカップ形の頭蓋骨を発見していた/Derek Adams/Trustees of the Natural History Museum

(CNN) およそ1万5000年前の欧州では、葬儀の習慣として死者の肉を食べる人肉食が一般的に行われていたという研究結果が、このほど学術誌に発表された。

英イングランドのゴフ洞窟ではこれまでにも、かじられた痕跡がある人骨やカップ形に加工された頭蓋骨(ずがいこつ)が見つかっている。しかし今回の研究では、欧州各地にそうした習慣があったことが分かった。

英ロンドンにある自然史博物館の研究チームは、後期旧石器時代の1万1000~1万7000年前に栄えたマグダレニアン文化の遺跡を調査。文献を調べて人骨が出土している59遺跡を特定した。遺跡はフランスを中心に、ドイツ、スペイン、ロシア、英国、ベルギー、ポーランド、チェコ、ポルトガルに点在していた。

かじられた跡のある人骨や意図的に砕かれたとみられる骨などは人肉食を示唆しているとみられる/Trustees of the Natural History Museum
かじられた跡のある人骨や意図的に砕かれたとみられる骨などは人肉食を示唆しているとみられる/Trustees of the Natural History Museum

このうち25遺跡で葬儀と解釈できる習慣が確認され、15遺跡では人肉食を示唆するかじられた跡のある人骨や、切断痕のある頭蓋骨、栄養のために骨髄を抽出する目的で意図的に砕かれた痕跡のある人骨が見つかった。

人の遺体を動物の死骸と混ぜていたことをうかがわせる痕跡もあった。

こうした人骨が儀式的に加工されていたことや、欧州の北部から西部にかけての各地で頻繁に行われていたことから、マグダレニアン文化では食事としてではなく、埋葬の儀礼として人肉食が普及していたと研究チームは推測する。

マグダレニアン文化の人肉食は、それ以前の時代に比べても以後の時代に比べても多いことも分かった。

マグダレニアン人にとって、死者の肉を食べることは亡くなった人を葬る手段だったと研究者は指摘し、「こうした人たちは、死者を埋葬する代わりに食べていた」と解説している。

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