「終末の氷河」のはるか下を調査、壊滅的な海面上昇招く可能性 国際研究チーム
ここ6年間、科学者は様々な実験を通じてより明確な認識を得ようと努めてきた。
研究チームは「アイスフィン」と呼ばれる魚雷型ロボットを、スウェイツ氷河の主な脆弱点である接地線(氷河が海底から隆起し、海に浮き始めるポイント)に送り込んだ。
米ポートランド大学の氷河学者、キヤ・リバーマン氏は、接地線まで泳いだアイスフィンから送られてきた最初の映像は感動的だったと振り返る。「氷河学者にとって、月面着陸が社会に与えた影響に匹敵するほどの感情的インパクトがあった」「大きな一歩だった。初めてこの場所を目にしたのだから」
アイスフィンから送られてきた画像を通じ、研究チームは氷河が思いもよらない形で融解してることを発見。暖かい海水が氷の深い亀裂や、「階段状」の地形を通って流入しうることを突き止めた。
別の調査では、人工衛星や全地球測位システム(GPS)のデータを活用し、潮の影響を調べた。海水はスウェイツ氷河の9.6キロあまり下まで入り込み、急速な融解を引き起こしていた。
ただ、多くの科学者はスウェイツ氷河の歴史を掘り下げた。米ヒューストン大学のジュリア・ウェルナー教授らのチームは、海底堆積(たいせき)物のコアを分析して氷河の過去を再構築し、急速な融解が始まったのが1940年代であることを発見。非常に強力な「エルニーニョ現象」がきっかけになった可能性が高いとの見解を示している。