「ハロウィーン彗星」最後の瞬間、NASA衛星が観測 太陽最接近生き延びられず
(CNN) ハロウィーンの夜空を彩るはずだった彗星(すいせい)が、太陽に最接近して28日に崩壊した。米航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星SOHOは、その最後の瞬間をとらえていた。
C/2024 S1(アトラス彗星)は9月27日にハワイの観測所で発見され、10月末にかけて夜空に現れる可能性があったことから「ハロウィーン彗星」と呼ばれるようになった。しかしNASAによると、氷とガスと塵でできた彗星は、太陽に最接近する近日点に近付くにつれて分解が始まり、28日に蒸発した。
C/2024 S1は太陽から約136万7942キロの距離を通過した。太陽の至近距離を通過するこうした彗星はサングレーザーと呼ばれ、太陽の熱で蒸発してしまうことが多い。
専門家によると、C/2024 S1は発見された当初から、太陽接近を生き延びられるかどうかをめぐって天文学者の間でも意見が分かれていたという。
C/2024 S1は米東部時間の28日午前7時半、近日点を通過して完全消滅した。近日点の太陽からの距離は、地球と太陽の距離の1%以内だった。これと比較して、9月27日に近日点に達した紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)の太陽からの距離は、地球と太陽の距離の3分の1以上あった(地球と太陽の距離はおよそ1億4900万キロ)。
統計的には、サングレーザー彗星が太陽接近を生き延びることは極めてまれだという。NASAのサングレーザープロジェクトで発見された4000以上のサングレーザー彗星の中で、近日点を生き延びた彗星は皆無だった。