若い男性の脳がガラスに変化、ベスビオ火山噴火の超高温にさらされた過程を解明

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ベスビオ山の噴火で死亡した犠牲者の頭蓋骨の中から見つかったガラス状の物質/Pier Paolo Petrone

ベスビオ山の噴火で死亡した犠牲者の頭蓋骨の中から見つかったガラス状の物質/Pier Paolo Petrone

(CNN) 自然界で有機物からガラスが形成されることはめったにない。しかし西暦79年にイタリアで起きたベスビオ火山噴火の犠牲者の頭蓋骨(ずがいこつ)の中から、2020年に漆黒のガラス状の物質が見つかった。

この犠牲者の脳組織が化石化してガラス状になった過程を解明したとして、イタリアの研究チームが27日の科学誌サイエンティフィック・リポーツに研究結果を発表した。

遺骨はベスビオ火山噴火でポンペイとともに消滅した海岸沿いの町ヘルクラネウムで発見された。火山灰に埋まったベッドの上でうつ伏せに横たわっていたのは、若い男性だったと思われる。

研究チームが頭蓋骨と脊椎(せきつい)の内部で見つかったガラスの標本を分析した結果、この遺体の身体組織が510度を超す高温で熱せられた後、急激に冷えてガラス化したことが分かった。

論文を発表したローマ・トレ大学の火山学者グイド・ジョルダーノ氏は、「液体は急激な加熱ではなく急激な冷却を経てガラスになる」「火山ガラスの黒曜石は、溶岩が水に入るなどして急激に冷却されて形成される」と解説する。

ただし、この男性の脳組織をガラスに変えたのは、ベスビオ火山から噴出してヘルクラネウムを覆った火砕流ではなかったと思われる。火砕流は温度が465度を超えることなはく、冷却も緩慢だったと推定されている。

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