古代ローマの沐浴場を発見、当時のユダヤ人の生活に光当てる

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古代ローマの港湾都市、オスティアを発掘中に見つかったユダヤ教の沐浴場/Remo Casilli/Reuters

古代ローマの港湾都市、オスティアを発掘中に見つかったユダヤ教の沐浴場/Remo Casilli/Reuters

(CNN) 古代のユダヤ人が使用していた沐浴(もくよく)場の廃墟が、イタリア・ローマ近郊で見つかった。イスラエル及びその周辺の聖書に関連する地域以外で発見された同種の施設としては、最古の年代に属する。

「ミクワー」と呼ばれるこの施設は、ユダヤ教の清めの儀式に使用される。当該の廃墟は古代の港湾都市オスティアを発掘中に見つかった。現在のローマから約25キロの地点にあるオスティアは、古代ローマ最初の植民都市として栄えた。

浴槽部分へと降りていく階段。宗教上の指針によれば、沐浴の水には湧水や雨水が使用された/Remo Casilli/Reuters
浴槽部分へと降りていく階段。宗教上の指針によれば、沐浴の水には湧水や雨水が使用された/Remo Casilli/Reuters

古代オスティア考古学公園の責任者、アレッサンドロ・ダレッシオ氏は、発見の意義を強調。ローマ時代のミクワーについて、これまでユダヤ(古代パレスチナ南部の地名)、ガリラヤ、エドム(現在のヨルダンにあった古代地域)以外では存在が知られていなかったと述べた。また帝政ローマ時代のオスティアでユダヤ人共同体がどの程度存続し、一定の役割と重要性を備えていたのかもこの発見で確認できると示唆した。

ミクワーはオスティアにあったシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)の一部で、建設は紀元2世紀の終わりとされる。浴槽は小さな部屋の中にあった。青い漆喰(しっくい)が塗られており、周囲を円柱が取り囲む構造だった。

イタリアのジュリ文化相は声明で、ミクワーの発見によってオスティアが出自の異なる人々の文化交流、共存の拠点だったことが強く認識されると指摘。こうした人々がローマ文明の中で一体化していた当時の状況に言及した。

神殿遺跡が立ち並ぶローマ近郊の古代都市オスティアの景観/Jumping Rocks/Universal Images Group Editorial/Getty Images
神殿遺跡が立ち並ぶローマ近郊の古代都市オスティアの景観/Jumping Rocks/Universal Images Group Editorial/Getty Images

オスティア考古学公園のウェブサイトによれば、現地からは他にも小像や大理石の断片が出土した。燭台(しょくだい)とヤシの枝が描かれたランプ、無傷のガラス製ゴブレットも見つかった。どちらも年代は紀元5~6世紀とみられる。

海軍基地が起源とされるオスティアは、歴史的な遺物が砂丘に覆われる形で残っていることからしばしばポンペイと比較される。現時点で発掘されているのは都市全体の3分の1のみだという。

過去にはムッソリーニが発掘に着手したが、第2次世界大戦のために中断。2022年に考古学公園と複数の大学が研究プロジェクトを立ち上げるまで、本格的な発掘は行われていなかった。

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