雲南省で発掘の石器、作ったのは誰? ネアンデルタール人が中国に流入か
ネアンデルタール人が中国西南部まで移動したり、地元で別種の古代人類に遭遇し、道具の作り方を伝えたりしたことは十分考えられると、デルピアノ氏は指摘する。
アルタイ山脈のデニソワ洞窟で発掘された化石から、ここには約20万年前にネアンデルタール人が住んでいたことが分かる。ほぼ同じ時期、アジアの各地にネアンデルタールの姉妹群のデニソワ人が分布していた。
また研究チームによれば、中国中部の河南省許昌市で見つかった古代人類の頭蓋骨(ずがいこつ)にはネアンデルタール人の特徴が一部みられ、「東西の交流」があった証拠とも考えられる。
デルピアノ氏は「ネアンデルタール人が時折、中国へ進出していたとしても不思議ではない。とはいえ、アジアではほかにキナ型が見つかっていないため、考えられる移動ルートをつなぐはっきりした足取りはつかめない」と説明する。
ネアンデルタール人対デニソワ人
もうひとつの説によれば、当時ロンタンに住んでいたデニソワ人、あるいは未知の古代人類が、同様の厳しい環境に対応しようとして、同じ型の石器を発明した可能性もある。
この研究について、中国・蘭州大学の考古学者、張東菊教授は第三者の立場から、どちらの仮説も妥当性があると指摘。ロンタンの石器をだれが作ったかを判断するには、さらに具体的な証拠が必要だと述べた。
米ストーニー・ブルック大学の人類学者、ジョン・シェア教授は、ネアンデルタール人が現在の中国に住んでいたことを証明するには、中国でその化石を見つけるしかないと語った。
また、米国立自然史博物館で人類学を研究する博士研究員のベン・ウッティング氏は「人類の起源を研究するうえで、東アジアと東南アジアが注目すべき地域であることを示す発見が、近年相次いでいる。それがまたひとつ加わったことに、この論文の意義がある」と述べた。