9900万年前の琥珀が閉じ込めた寄生バチ、獲物の体内で幼虫を育てる奇抜な生態
(CNN) 9900万年前の恐竜時代に生息していた新種の寄生バチは、捕らえた獲物の体内で幼虫を育てる奇抜な仕組みを進化させていた――。そんな研究が27日の科学誌BMCバイオロジーに発表された。
研究チームはミャンマー産の白亜紀の琥珀(こはく)に閉じ込められていた小さな蜂の化石標本16点を調査した。その結果、未知の新種だったことが分かり、「Sirenobethylus charybdis」と命名した。この蜂は腹部にハエトリグサのような構造をもち、これで昆虫を捕獲していたと思われる。
論文を発表したデンマーク自然史博物館の研究者は、「最初の標本を見た時は、腹部の先端が膨らんでいるのを見つけて気泡に違いないと思った」「ところが別の標本を幾つか調べて最初の標本に戻ると、これが体の一部だったことが分かった」と説明する。
中国の首都師範大学と共同で調べた結果、この構造は標本によって場所が異なっていたことから、可動式だったと研究チームは推測。「下部のフラップが開いていることも、閉じていることもあった」といい、「明らかに可動式の構造で、何かを捕獲するために使われていた」と解説する。
現代の自然界でこれに最も近いのはハエトリグサだった。食虫植物のハエトリグサは、開閉式の葉を閉じて獲物を中に閉じ込める。
ただし白亜紀の蜂に獲物を殺す意図はなかったらしい。研究チームの推測によると、蜂は獲物の体内に卵を産み付けてから解放し、卵を育てさせていた。卵からかえった幼虫は宿主の体内に寄生して、やがて宿主を食べ尽くす。宿主は恐らく、この蜂と同じくらいの大きさの飛ぶ昆虫だったと思われる。