列聖予定の「神のインフルエンサー」、聖遺物のネット販売は悪魔の所業 大司教が警鐘

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アッシジにあるアクティスさんの墓を訪問しようと列をつくる巡礼者たち=3月、イタリア/Franco Origlia/Getty Images

アッシジにあるアクティスさんの墓を訪問しようと列をつくる巡礼者たち=3月、イタリア/Franco Origlia/Getty Images

(CNN) 2006年に15歳の若さで亡くなり、今月末にミレニアル世代で初めてローマ・カトリック教会の聖人に列せられる予定のカルロ・アクティスさん。だが、イタリア・アッシジの大司教はこのほど、「神のインフルエンサー」ことアクティスさんの聖遺物をオンラインで競売にかける行為は容認できないとの声明を発表した。

声明の発表に先立ち、匿名の出品者がアクティスさんの髪の毛のオンライン販売を試みていた。入札額は2200ドル(約32万3000円)に達したが、アクティスさんの遺体の安置先であるアッシジ教区を管轄するソレンティーノ大司教が警察に通報し、出品は撤回された。聖遺物とされる髪の毛はアッシジで競売に掛けられた。

髪の毛から骨の断片まで、聖遺物はカトリック信徒にとって長く重要な信仰対象とされてきた。カトリック教会は聖人や聖人候補の聖遺物の前で祈りを捧げることを推奨しているが、ソレンティーノ大司教によれば、教会法では聖遺物の売却が禁じられている。

ソレンティーノ大司教は「インターネット上で競売を確認した後、被害届を出すことに決めた。金銭崇拝は人をどこまで迷わせるのか。悪魔の関与を恐れている」とも述べた。

ソレンティーノ大司教は、ペルージャ警察に被害届を提出。警察は聖遺物とされる毛髪の販売について捜査に乗り出している。

ソレンティーノ大司教は教区のウェブサイトで、出品物の押収を要請したことを明らかにし、「これらの聖遺物が本物か偽物かは分からないが、たとえ全てでっち上げだったとしても、そこに欺瞞(ぎまん)があれば単なる詐欺ではなく、宗教的感情への侮辱に当たる」との認識を示した。

アクティスさんは2006年、白血病のため15歳で亡くなった。若い信者の間ではキリスト教徒の人生の模範として広く認知されており、ソレンティーノ大司教は、列聖されれば「インターネットの守護聖人」のような存在になるとの見方を示している。

列聖式は今月27日、バチカンのサンピエトロ広場で執り行われる予定。

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