死が近かったフランシスコ教皇、一時は治療中止も検討 主治医が明かす
フランシスコ教皇、入院後初めて公の場に
(CNN) ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(88)が長引く呼吸器疾患で入院していた際、医療スタッフは一時、治療を中止して看取(みと)ることを検討していたことが分かった。主治医がイタリア紙コリエレ・デラ・セラに明らかにした。
主治医のセルジオ・アルフィエリ教授が同紙に明かしたところによると、最も危機的な状況が訪れたのは先月28日。教皇は呼吸困難や嘔吐(おうと)物の誤嚥(ごえん)を起こしていた。
アルフィエリ氏は「我々は治療を中止して看取るか、他の臓器を損傷させる非常に高いリスクを冒してでも、可能なすべての投薬や治療を試みるかという選択を迫られた。最終的には後者の道を選んだ」と振り返った。
アルフィエリ氏はローマ市内のジェメッリ総合病院で治療チームを率いた。治療続行を決めたのはフランシスコ教皇の看護師だといい、「決定を下すのは常に教皇だ。教皇は健康管理の補佐役を務めるマッシミリアーノ・ストラペッティ氏にあらゆる医療判断を委ねている。彼は教皇の意向を熟知している」と話す。
ストラペッティ氏はアルフィエリ氏に「あらゆる手を尽くそう。我々は諦めない」と伝え、医療チームも同じ考えだったという。
フランシスコ教皇は12年前の教皇就任後で最長となる38日間の入院を経て、今月23日に退院した。入院中は複数回の呼吸危機に見舞われ、アルフィエリ氏の以前の説明によると、うち2回は命にかかわる状況だった。
入院中、ローマ教皇庁(バチカン)はフランシスコ教皇の病状をこれまでになく詳しく公表した。アルフィエリ氏によれば、これは教皇自身の決断で、バチカンの発表は医療チームが作成し、教皇の秘書らが一部加筆した。
教皇は退院後、住まいであるサンタ・マルタ館に戻っており、バチカンによると、今後は歩行や呼吸関係の理学療法を含む治療を受けながら、祈りに身をささげる考えだという。
教皇は徐々に公務に復帰する見通し。職務を続ける決意を示していて、すでに一部の執務や文書の署名を再開している。ここ7週間は日曜の「アンジェラスの祈り(お告げの祈り)」こそ主宰していないものの、直近では戦争で荒廃した地域の「平和」を呼びかける場面もあった。