(CNN) 太平洋に展開する米海軍の艦艇の衝突事故が相次いでいる問題で、米政府監査院(GAO)が艦艇の安全性と即応能力に関する懸念を強めていることが、CNNの入手したGAOの分析で明らかになった。この分析結果は6日に発表される予定だ。
GAOの分析によれば、日本に母港がある駆逐艦と巡洋艦が備えるべき交戦訓練証明書のうち、6月末で有効期限が切れていたものは全体の37%に達した。また、そのうち3分の2以上は期限切れになってから5カ月以上が経過していた。
海軍の艦艇は機動力や航行技術の他、弾道ミサイル防衛や水上戦のような戦闘能力を示すものなど全部で十数種類の訓練証明書をそろえることが規則で定められている。
艦隊が大規模化し派遣期間が長くなる一方で艦艇数は横ばいという状況の中、海軍の即応能力が不足しているとの指摘は軍幹部や議会、GAOから以前より上がっていた。
2015年にもGAOは、海外に展開する海軍の艦艇、特に日本に母港がある艦船について訓練や整備にかける時間が不足しているとする報告書を発表している。
だが今回の分析は、そうした問題が未だに解決されていないことを示唆する。
GAOは「海軍は海外に本拠を置く艦艇について集中して訓練を行える時間を作るため作戦スケジュールを見直す計画を立てた。だがこのスケジュールが実施されることはなかった」と指摘している。
また、今年6月の時点で日本に母港を置く駆逐艦と巡洋艦11隻のうち8隻で機動性や航行技術、空中戦や水中戦の証明書が期限切れになっていたが、その理由のうち最も多かったのも過密な作戦スケジュールだったという。