ワシントン(CNN) 米連邦捜査局(FBI)が昨年の米大統領選の投票日に、「偽ニュース」を使ったロシアの情報工作とみられる活動を捕捉するため、ソーシャルメディアを監視していたことが5日までに分かった。複数の情報筋が明らかにした。
ツイッターやフェイスブックは投票日に至る数カ月間、陰謀説やデマを流す「ニュース」の拡散の温床になっていた。その多くは、民主党候補だったヒラリー・クリントン氏に関する否定的な虚偽の主張を広めることを狙いとしたものだった。
情報筋によれば、ワシントンにあるFBI本部では投票日当日、捜査員や分析官数十人が大型監視スクリーンを並べた司令室に集まり、安全保障上の脅威がないか注視していたという。
この中には、サイバーセキュリティー上の脅威を監視する分析官のほか、FBIサイバー部門と防諜(ぼうちょう)部門の分析官や捜査員もおり、ソーシャルメディアの注視に当たっていた。
捜査状況に詳しい情報筋2人によれば、FBIの分析官はこの時点で既に、記事の背後にある複数のソーシャルメディアアカウントを特定。その中には海外を拠点とするものもあり、少なくとも一部はロシアの情報工作の一端を担っていると疑われていたという。
FBIはこの件に関してコメントを避けた。
合衆国憲法修正第1条が言論の自由の保護を定めていることを踏まえると、これはFBIにとって扱いが難しい領域だった。同捜査について知る人物は、「憲法上の合法性でぎりぎりのところにいた」との見方を示した。
選挙戦当日はFBI、国土安全保障省、国家情報長官室のチームが3時間おきにホワイトハウスのチームと会議を開き、問題がないかを確認。アラスカ州からジョージア州まで広範な領域で小規模な問題は発生したものの、大きな混乱がないまま投票日が終わった。
高官らはこの日の最後に喜びを分かち合ったが、あるオバマ前政権の当局者は逆の感想を抱いていた。米政府のロシアの工作に対する反応は「想像力の欠落」であり、喜ぶ仲間に「冗談だろう」「これが彼らがやろうとしていたことだ」と応じたという。