世界唯一の「水中」ギャラリー、沈没船に息吹
(CNN) 水深27メートルの海底で、暗闇から白いチュチュを着た3人のバレリーナが現れ、沈没した軍艦のデッキで足のストレッチをしている。
彼女たちは幽霊ではない。沈没船を利用した世界で唯一の水中ギャラリーに展示されている写真の1枚だ。
米国フロリダ沖で沈没した1万トンの大型船ジェネラル・ホイト・S・ヴァンデンバーグを背景に、洗濯をする主婦やテレビを見ている若者など、ごく日常的な光景を収めた12枚の写真が展示されている。
ヴァンデンバーグは、これらの写真の撮影場所であるだけでなく、写真が展示されているギャラリーでもある。
写真を撮影したのは、ウィーンの芸術家で、広告写真家として20年以上のキャリアを持つアンドレアス・フランケ氏(45)だ。
2009年にフロリダ海峡にある米国最南端の島キーウェストの沖で沈没したヴァンデンバーグは、今や世界で2番目に大きな人工岩礁となり、さまざまな海洋動植物が生息している。
そのため、現在はダイバーたちの「楽園」となっているが、第2次世界大戦中は米国の輸送船として活躍していた。フランケ氏は、このヴァンデンバーグの歴史を知り、この船を舞台に第2世界大戦時代の光景を描いた写真を撮ることを思いついた。
フランケ氏はまず、専門家向けの水中カメラで船の写真を撮り、その後アトリエに戻って1940年代、50年代の衣装を着たモデルの撮影を行った。