世界唯一の「水中」ギャラリー、沈没船に息吹
そして、レトロな服を着たモデルたちの写真をヴァンデンバーグの写真に重ね合わせることにより、まるで時間が止まったかのような不気味な水中世界を作りだした。
フランケ氏は「ヴァンデンバーグに新たな命を吹き込むような作業だった」と語り、さらに次のように続けた。
「水面下27メートルに沈むこの巨大な船では、魚が泳ぎ回り、太陽の光は美しい青緑色だ。私はアトリエで、船の撮影に使用したのと同じレンズでモデルを撮影し、2枚の写真が一致するようにした」
この水中ギャラリーには約1万人のダイバーが訪れた。これらの写真は、海底で4カ月間展示されたが、現在は地上のギャラリーに展示されている。
水中では、写真を2枚のプレキシガラスで挟み、鉄骨製の額に入れシリコンで密閉したが、海水を完全に遮断することはできなかった。海水が額の中に入り込み、写真は塩の染みや藻などで変色していた。
フランケ氏は「写真を水面まで運んだ時、写真にさまざまな藻が付着しているのが分かった。写真の表面が立体的になっていた」と述べ、さらに「海洋生物が新たな画像を作り出した。非常にすばらしく、まるでポラロイド写真のようだ」と付け加えた。
この時価3万ドル(約290万円)相当の見事な写真は、写真であると同時にパフォーマンスアートでもある、と語るのはフランケ氏の写真の展示会を主催するザ・ストゥディオズ・オブ・キーウェストの代表を務めるジェド・ドッド氏だ。